石原慎太郎の理念・思想

人生論

仕事について

俺が、他の人間に触れ合い、繋がって生きていくためには、結局自分の仕事を通してしか方法はない。誰しもが同じことではないのか

人間は各自に生きるがいい。俺とても同じことだ。しかし仕事はその自分とは別であり同時に同じだ。俺が、他の人間に触れ合い、繋がって生きていくためには、結局自分の仕事を通してしか方法はない。誰しもが同じことではないのか。

人間の世界、国家、民族をふまえた仕事、と言うとあるものはその言葉を大袈裟と苦笑する。しかし、俺は俺の仕事を通じて俺自身をそれらに確かに繋ぎつける確信があるのだ。

何のためにそれをするか、と言うのなら、人間の、国家の、民族のためとは言わず、俺だけのためと俺は言おう。

『挑戦』(新潮社)

人生における方向転換は、その時期が遅くなればなるほど至難になる

人生における方向転換は、その時期が遅くなればなるほど至難になる。それを行なうことの方が、死ぬよりもつらい、というより、むつかしいものとなるに違いない。

四十すぎて、まだ誰も評価してくれない自らの芸術に一生を捧げるために、家族をすて銀行の中堅幹部としての社会的地位をすて、社会的隠遁をすることで芸術に全精力を傾け、やがてはタヒチにこもってしまったゴーギャンのような勇気は、結果論でいえば、正当とされようが、男の人生の節目とすれば、誰しもそう簡単に出来ることではない。

『バカでスウェルな男たち』(プレジデント社)

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