コラム

御挨拶

 この度今回の選挙をもって政界から引退することに致しました。見回して見ると私も現在の国会議員の中での最高齢者になっておりました。
 参議院の全国区に当選して以来衆議院を経て東京の都知事を勤めて今日まで五十年余り、皆様のお陰で大過なくすごしてくる事ができました。皆様には折節に励まされお叱りもいただいたものです。それを振り返ってみると人生の中での人との出会いの不思議さ、有難さをしみじみ感じさせられます。改めて心より御礼させていただきます。
 今後は執筆などを通じて発言しこの国を支えていくために微力を尽くしていくつもりでおります。
 見回して見ると世界の中で今の日本ほど危うい立ち位置におかれている国はないような気がしてなりません。私も七人の孫がおりますが、彼らが大人になる頃この日本はいったいどんな事になっているのかが心配でなりません。
 ことは経済だけの問題だけではありますまい。他力本願で贅沢を当たり前のこととするような心の甘えを払拭していかないとこの国は立っていけないのではないでしょうか。
 こんな今になってみると、明治の先覚者福沢諭吉が言い残した『立国は公にあらず、私なり。独立の心無き者、国を思うこと深切ならず』という言葉を改めて噛みしめたいものです。私も今後も深切にこの国を思っていきたいと思います。

 最後に改めて、長きにわたっての皆様からの御厚情に心から感謝申し上げます。本当に、本当に有難うございました。

平成二十六年十二月吉日

石原 慎太郎

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