コラム

2017年3月3日 記者会見資料

豊洲時系列表_170303(配布資料).pdf

全編映像資料(2008年から2010年の定例記者関係における発言の一部)

(1)移転経緯について

先ず、築地から豊洲への移転が決まった経緯についてお話しします。私の都知事在任中に、豊洲移転に向けて、事業が大きく進んだことは間違 いありません。 しかしながら、99年4月に私が都知事に就任する10年以上も前の 86年に築地市場の現地再整備の方針が決定され、90年代前半に工事に 着手し、数百億円が支出されたにもかかわらず、頓挫したという経緯と、こ れによって東京都の幹部や市場関係者らが築地市場の限界を認めざるを得 なくなったという経緯がございます。すなわち、決して、初めから移転あり きで話が進められたものではなく、築地市場の操業を止めずに現地再整備 することが極めて困難で、暗礁に乗り上げたために、移転やむなしとなった わけです。 その後、移転先候補地を調査する中で、1995年には、有力な候補地として豊洲地区の名前が挙がるようになり、遅くとも1998年の時点では、 市場関係者の団体の過半が、豊洲地区を念頭に、移転推進の意見を取りまと めるに至っていたようです。 その後の1999年4月、私が都知事に就任して、早々に、豊洲という土 地への移転は既定の路線であるような話を担当の福永副知事から聞いた記憶です。 


(2)土地売買の経緯

次に、ここで東京ガスとの用地取得交渉の経緯について、お話しします。 報道によれば、東京都は、遅くとも、私が知事に就任する前年、 1998年の8月には豊洲地区の東京ガスの所有地の調査に着手しており、 同年9月には東京ガス本社を訪問し、説明したようです。 少なくとも、私の記憶の限りでは、東京都の関係部局が、豊洲地区以外の 候補地の地権者と具体的な協議をした報告を受けたことはありません。つ まり、私が知事に就任する以前から、東京都の関係部局では、「豊洲地区以 外に移転先の適当な候補地がない」との考えで一貫していたものと思いま す。 東京ガスとの具体的な交渉は、私の知事就任後は、まずは福永副知事、そ の後、2000年10月以降は濵渦副知事に、担当してもらいました。濵渦 氏から、交渉の細かな経緯について逐一報告は受けていませんでしたから、 私には詳細はわかりませんでしたが、こんなような話を進めているといっ た大まかな報告は受けていたのかもしれません。
最終的に、2011年3月31日に至って、東京ガスらとの間で、土地の 売買契約を締結しました。譲渡価格が妥当かどうかは、専門家に鑑定してい ただき、外部専門家が委員となっている都の財産価格審議会の意見も得て いたということですから、妥当であったものと思います。 また、売買契約の際の土壌汚染対策費用の扱いについて、現在、問題提起 がなされていますが、私は、詳細な契約文言について法律的判断をする知見 はありませんし,具体的な記憶はありません。ただ、時系列表をご確認いた だけばわかるとおり、売買契約以前に、東京ガスが当時の法令に従って必要 な土壌汚染対策を実施済みであり、東京都は、それを検査・確認していまし た。その範囲を超えて、法令が要求する水準以上の安心のための土壌汚染対 策については、東京都が相当程度の費用負担をすることも、十分あり得るこ とと思います。現に、都議会にも、土壌汚染対策費用の予算をお認めいただ いていたところです。 その上、最近見せてもらった契約書等の資料によれば,売買契約の際、東 京ガスには、78億円の追加負担をいただいたようです。


(3)豊洲市場の土壌汚染対策と建物下に盛り土が行われなかった経緯

土壌汚染対策の問題については、関係者は誰しもその必要性を分かって いたことですから、当然、用地取得交渉の過程で協議されていたはずですが、 専門的・技術的な事柄ですから、それらの知見を有する都の関係部局が検討 しており、私が具体的に判断した記憶はありません。 今般、確認したところによれば、都と東京ガスとの間では、土壌汚染対策 に関して、 「2002(平成14)年」及び「2005(平成17)年」に 合意を取り交わしており、都の環境確保条例に基づく対策、さらに、それ以 上の追加対策を、東京ガスの責任で実施いただくことを合意したようです。 その後、東京ガスは、2007(平成19)年4月までに、これら対策を実 施し、東京都環境局において、その完了を確認していたようです。 それでも豊洲用地の土壌汚染を懸念する声があったことから、万全を期 するため、同月、 「土壌汚染対策等に関する専門家会議」が設置され、安全 性の調査・検討をしていただいたところ、一部の地点から、環境基準を大幅 に超える高濃度の汚染が検出されたようです。 さらに、同専門家会議による調査結果及び報告書における土壌汚染対策 追加実施の提言を受けて、2008(平成20)年8月、「土壌汚染対策工 事に関する技術会議」が設置されました。同技術会議は、2次にわたって報 告書を公表しましたが、その結論は、一定の技術的対策を講ずれば、豊洲用 地の土壌汚染問題を克服できるという内容でした。つまり、同技術会議は、その時点における土壌汚染の状況を前提としても、豊洲新市場への移転は 可能であると判断したことになります。 私は、自分自身に技術的知見はありませんし、お配りした時系列表に記載 された細かな経緯についての記憶はありませんが、このような専門家会議 や技術会議の判断を踏まえて、政治家として、長年の築地市場問題を解決す べく、豊洲新市場への移転を政治判断し、2010(平成22)年 1 0月22日、その旨、記者会見で発表しました。 都知事就任から、2011年3月31日に土地の売買契約を締結するま でに、関係部局の職員らから私に対する豊洲移転についての報告の中で、土 壌汚染に言及されたことは、何度もあったものと思いますが、基本的には、 日本の技術で処理可能であると説明を受けていたと認識しています。 私は、実際、土壌汚染が処理できないということであれば、豊洲へ移転で きないし、無理に土地を購入すべきではないと認識していて、2009(平 成21)年12月には、メディアの取材に対して、そのような発言をしたこ ともありました。
次に、建物下に盛り土が行われなかった経緯については、私には何も記 憶がありません。この点は、小池知事のもとで、「調査特別チーム」が2 次にわたって詳細な調査をされましたが、私に報告がされた事実はなかっ たことを確認いただいたものと理解しています。私が平成20年5月30 日に記者会見で「新しい工法(空洞のコンクリートの箱を埋める案)につ いて指示した」と発言したことについても、地下空間の問題とは無関係で あったとの調査結果が公表されていますので、その資料をご確認いただき たいと思います。


以上

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