石原慎太郎の理念・思想

国際関係論

対中国外交について

このごろ中国は、沖縄県はもともと中国のものだと言い出した。尖閣諸島にしても、アメリカの占領下にあった時は何も言わなかったのに、日本に返ってきたら、中国は急に居丈高に占有権を言い出した

このごろ中国は、沖縄県はもともと中国のものだと言い出した。尖閣諸島にしても、アメリカの占領下にあった時は何も言わなかったのに、日本に返ってきたら、中国は急に居丈高に領有権を言い出した。しかも海底油田があるということになると、もう、どんどん領海侵犯している。

ですから、私たちが言い出して、あそこにささやかな灯台をつくりまして、その後、右翼の連中がお金持ちだから、立派な灯台をつくった。ところが、それを運輸省が海図に載せようと思ったら外務省から、「ちょっと待て、時期尚早だ」と言われた。何が時期尚早なんですか。日本国土に、日本の国民のためだけでなく、その周辺を通る世界の航海者の安全のために灯台をつけたんですよ。それを正式に登録しようと思ったら、日本の外務省が反対するって、信じられない。

『東京の窓から日本を』(文春ネスコ)

私が恐れるのは、もし日本が誰よりも相手に悔られ、その矛先が最初に尖閣諸島に向けられ日本がそれに屈した時のことである

いずれにせよ、中国があの滑稽な中華思想に乗って覇権主義を遂行していく間は、アメリカはアジアでの信用を維持しようとするなら、そのきっかけが南沙諸島になるか、あるいは西沙諸島になるか、あるいはまた尖閣諸島になるかは知らぬが世界の警察官を自負する限り対中国の踏み絵を踏まざるを得ないだろう。

私が恐れるのは、もし日本が誰よりも相手に悔られ、その矛先が最初に尖閣諸島に向けられ日本がそれに屈した時のことである。他の東アジア諸国の動揺は大きく、アメリカが慌ててそれに対応しようとしてもすでに時遅し、中国のアジアにおけるヘゲモニーは容易に確立されるに違いない。

そして、それがはたしてこの国にとっていい変化か悪しきものかはわからぬが、それを引き金にして日本は高度な技術を駆使した、少なくとも海と空の防衛に関しては強力な効力を備えた新しい形式の軍事国家に変貌するかも知れない。そしてまたそれが他のアジア諸国に対して与える影響も大きなものになるだろう。

さもなくばこの国は周囲の軽蔑の視線を浴びながら緩慢な亡国への道をたどるだろう。

『亡国の徒に問う』(文藝春秋)

中国が日本から経済援助をもらって当たり前という態度の背景には、戦争での侵略への賠償として日本が援助するのは当然だという考え方が見えすいている

中国が日本から経済援助をもらって当たり前という態度の背景には、戦争での侵略への賠償として日本が援助するのは当然だという考え方が見えすいている。

中国首脳がいくら日中関係を語っても、経済援助へのお礼の言葉がきかれないところにこのことは如実に表されているのだから、日本人をなめきっているとしかいいようがない。

日本政府は対中ODAを見直す方針のようだが、今後、水爆保有国で、しかも日本の二十五大都市に核ミサイルの照準を当てていると豪語する中国にはODAは一切出さないことにすべきだ。

もう贖罪意識にとりつかれた中国に対する土下座外交は正すべき時期にきています。

『勝つ日本』(PHP研究所)

今の日本人には中国に妙な原罪意識があるが、まずそれを払拭して中国と対等のゲームを行えばいいのだ

今の日本人には中国に妙な原罪意識があるが、まずそれを払拭して中国と対等のゲームを行えばいいのだ。ゲームである以上、相手の弱いところを遠慮なく突いていく。中国の弱いところはどこか。経済が発展途上で資本力が脆弱なことです。日本は経済大国なのだから、経済援助などの資金を対中国カードとしてもっとうまく政治的に使うべきなのだ。とくに何の定見もなくばらまかれている今のODAは、中国戦略のもっとも有効な武器になるだろう。

『勝つ日本』(PHP研究所)

↑ページの先頭に戻る